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Friday December 30 2016 category:

銀色の恋人


銀色の恋人 (ハヤカワ文庫SF)

銀色の恋人 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: タニス リー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 文庫

銀色の愛ふたたび (ハヤカワ文庫SF)

銀色の愛ふたたび (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: タニス リー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫



私が「この小説はすごく好き!」と思うとき、おおむね3種類に分かれることが最近わかってきました(笑)

1. ストーリーが好き
2. 登場人物の誰それが好き
3. 登場人物AとBの関係性が好き

好きな理由を考えるとだいたいこれのどれかに当てはまります。
(もちろんこの複合という場合も多いのですが)

例えば…
ストーリーが好きという小説なら、ロバート・ゴダードや、フィリップ・K・ディックの作品などがこのパターン。
登場人物の○○が好きと思ったり、××に感情移入したりしますが、それよりもなによりも物語そのものが好きでたまらない小説。
『千尋の闇』『リオノーラの肖像』『流れよわが涙、と警官は言った』『ユービック』
あとなんだろうな…『渚にて』とか『幼年期の終わり』とか、SFはだいたいこのパターンが多いかも。


登場人物の誰それが好き…というのなら、「金田一耕助」「シャーロック・ホームズ」「アン・シャーリー」「チャーリイ・ゴードン(アルジャーノンに花束を)」…
話自体も好きですが、とにかく彼らが好きで何度も何度も読み返したくなる本。


関係性が好き…というのは、言ってみればあれです…関係性萌えってやつです(笑)
まあ、萌えとはちょっと違う好きも多分に入り混じってるんですけれども…的確に言い表すのは難しいな。
例えば『風と共に去りぬ』のレットとスカーレット、『あしながおじさん』のジュディとジャービスさん、『ギリシャ神話』のハデスとペルセポネー。
恋愛関係じゃなくても全然よくって、『マークスの山』のマークスと真知子(恋愛とはちょっと違う感じ)とか、皆川博子さんの作品に出てくる「無垢なるもの」と「それを見守る?もの」とか、すごく好き。
ストーリーがあってこその『関係性』だとは思うんですけれども、なんだろうな、純粋に「物語が好きで楽しんでいる」というのとはちょっと違う感じ。
そして、これは少女漫画が好き!というのと同義なのです(私の中で)。
好きな少女漫画はだいたいこのパターン。
少女漫画以外の、少年漫画や青年漫画だとまた違ってくるんですけど。



前置きが長くなりました…(;´・ω・)
『銀色の恋人』はみっつめの関係性萌えパターン。

絶対的な母親に反抗したこともない(そもそも反抗するほどの自我もない)娘が、アンドロイド(ロボット)に恋をして、めちゃくちゃなことをしながら(でもロマンチック)、恋を叶える物語。
これは母と娘の物語、娘が母親から自立していく物語でもあるんですが、あまりそういうのが刺さらない私にとっては、夢のようなロマンチックな恋の物語。

シルヴァー(ロボット)は、皮膚が銀色な点を除けば、人間そのものとしか見えず、優美な男性。
ちなみに皮膚が銀色なのは、作中の時代では突飛なことではないことになっています。
(メイクで皮膚を銀色にするのが珍しくない)
個人的に私はマッチョ好きで、王子様タイプはあまり趣味じゃない(笑)んだけど、小さな女の子のままのジェーン(ヒロイン)には、まさに夢の王子さま。
一目惚れで、世間知らずのまま突っ走るジェーンを優しくサポートするシルヴァー。
ロボット、つまり『人の手で作られた物』であるシルヴァーだけど、いつかジェーンを愛するようになる。
そうして悲劇的な最後が待っていて…


ロボットに本物の感情はあるのか、つまり、人を愛することはできるのか、っていのがもう少女漫画的にロマンチック。
(そうでもない?)
ロボットであるシルヴァーに魂はあるのか?
愛するという感情があるなら、魂もある…というのが、このロマンチックな物語の結末なのですが、あんまり日本人の私には不思議な感じはしません。
訳者である井辻さんも書かれてますが、物にも魂が宿るってのが日本人の世界観ですもんね。
外国の読者は違和感を感じるのかしら…?

(年不相応に)幼く、自分に自信のないジェーンが不器用に差し出す愛に、シルヴァーはいつの間にか彼女を本当に愛するようになっていく。
ふたりがひとつひとつ積み重ねていくおままごとのような生活の描写が、もうね、たまりません!
このあたりばかり読んじゃう(笑)



続編の『銀色の愛ふたたび』には、直接「ジェーンとシルヴァー」は出てきません。
いや、シルヴァーは出てくるんですけど、前作のシルヴァーとこちらのシルヴァーは全然別物。
初読時はあまりのことに憤死しそうになったんですけど、今はこれはこれで好きです。
でもこっちは「物語が好き」パターンかな!
関係性萌えに至るほど、お互いが唯一無二じゃない感じかなー(個人の感想です)。



というわけ(?)で『銀色の恋人』は、多分、少女漫画(関係性萌え)好きがキュン死する本です(笑)

そうだ、表紙のイラストがそもそも少女漫画的だったネ。



よいお年を!


タグ:Books SF Ringo

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