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Thursday July 12 2007 category:

ぽっぺん先生と笑うカモメ号

さいきん個人的にぽっぺん先生祭りです。
読み返したり、新たに購入したりしています。

今回は

ぽっぺん先生と笑うカモメ号 (岩波少年文庫 (100))

ぽっぺん先生と笑うカモメ号 (岩波少年文庫 (100))

  • 作者: 舟崎 克彦
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/09/20
  • メディア: 単行本

です。
子供のころ読んだときにはちっともおもしろさがわからず、大人になって読み返しておもしろさに驚嘆した本。

さえない中年独身・生物学者のぽっぺん先生は、日食と渡り鳥の太陽磁石の関係を調べるため、多良湖岬のホテルへ来ていました。
ホテルの部屋の中で、先生は恐ろしい嵐にあいます。
その嵐は先生の部屋の中だけのものでした。
いつの間にかホテルの部屋は船室になっています。
例によって変な世界に流されるぽっぺん先生。そこへ一羽のメスのカモメがやってきて…

というのが導入部です。

前作、前々作の「帰らずの沼」「日曜日」とは少々趣が変わって、次々と場面が変わっていくおもしろさはありません。(そのあたりが子供のころにはつまらなかったのだろうと…)
もちろん、『ヒヤヤッコダイ』みたいな変な生き物はたくさん出てきます。そのあたりは変わらずw

「笑うカモメ号」のおもしろさは、ちょっと気の強い(でも心根の優しい)ツンデレ(笑)カモメと先生のやり取り、漂流中の笑うカモメ号の前に現れた光り輝く豪華船で繰り広げられる怪しげなパーティ、そして、そのパーティの正体が明かされる描写にあると思います。
特にツンデレカモメのけなげさには心打たれますよ…
↓ネタバレあります。



「帰らずの沼」「日曜日」との一番大きな違いはこれが愛の物語であるということ。
そこじゃないかなーと思います。

「帰らずの沼」でもぽっぺん先生は美しいカワセミのメスとつがいになる一歩手前まで行きますが、あちらのテーマは食物連鎖にあり、こちらでは愛にあるという点でちがっているかなと。
作者の舟崎さんとしては「駆逐されるものとしての魔」を書いてみたかったと、あとがきでおっしゃってますが、読んだ印象は圧倒的に「ツンデレカモメの愛」にあります。
最後にはぽっぺん先生も現実世界へ戻ってくるわけで、ツンデレカモメとの愛は消えてしまうのですが…その直前の夜明けの描写のはかなげで美しいこと…
悪魔・サバトの夜との対比でよけいに、やわらかな薄霧やこれから夜が明ける空の薄明かりの静けさが際立っています。
またぽっぺん先生がカモメにつけてあげた名前がきれいで。
これは屈指のラブシーンだと思うんですよ。個人的に。


タグ:Ringo こどもの本
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あこ

ぽっぺん先生は、読んだ事無いですねー。
タイトルを見て、アーサー・ランサムのツバメ号シリーズを思い出しました。
同じ児童文学でも、こっちはまるっきり子供が主人公ですが。
by あこ (2007-07-13 23:45) 

りんごあめ

>あこさま
中年男が主人公ということで、引き受けてくれる出版社がなくて苦労したと舟崎さんがおっしゃってました。
確かに変わってますよね。
ツバメ号シリーズ、たくさんあるのですね~!
こちらは知らずにここまで大きくなってしまったのですが(残念><)、男の子のすきそうな冒険もののようなので、うちでそろえてみようかと思います。
(子供のためといいつつ、私が読みたいw)
by りんごあめ (2007-07-15 22:25) 

あこ

今更レスしちゃいますが、「ツバメ号とアマゾン号」はお薦めです♪
私は、最初に読んだのが中学の時だったんですが、とっても面白くて、図書館で次々借りて読みました。
登場人物は四人兄弟とか二人兄弟とかで、子供達がメインで(子供達だけで海に出てしまう話等もあり)大活躍します。
私も読み直してみようと思います(^^)。
by あこ (2007-08-02 18:54) 

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