Monday October 19 2015 category:本
ふるさと遠く
もし、60~70年代の映画がお好きなら、『ハスラー』や『地球に落ちてきた男』というタイトルをご存知かもしれない。
『ふるさと遠く(Far From Home)』は、それらの映画の原作を書いたウォルター・デヴィスの短編集。
初版は昭和61年(1986年)。
おそらく私は90年代に手に入れて読んだのだと思うけれども、それも今から20年以上も昔の話。
今よりも古いサイエンス・フィクションの本が手に入りやすかった時代。
マニアというほどの量ではないけれど、気の向くまま、手あたり次第SFを読んでいた頃。
ああ本当にいい時代だったなあ(笑)
この短編集に収められているのは13篇。
解説も入れて304ページなので、1篇当たり20ページぐらいかな。
(もちろん、それより長いのもあるし、短いのもある)
2000年代以降、好んで読んでいるSFの短編集というと、フレドリック・ブラウンやレイ・ブラッドベリのもので、この『ふるさと遠く』のことは、持っていることすら忘れていた。
手に入れた当時も熱狂して読み耽ったとか、何度も何度も繰り返し読んだ、という記憶はない。
でも、読み返してみると、これがびっくりするぐらい筋立てやオチを覚えている。
そういえば、折りに触れ思い出しては『○○という話、あれ何に収録されてたんだっけ…』と気になっていた話のほとんどすべてが、本書の短編だった。
熱狂はしなかったけれども、私の中のどこか深くに根を下ろした作品集ではあったのだなあ…
そういや、私は『母の訪問』『父さん』『幽明界(リンボ)に座して』の三部作に、(大仰な言い方をすれば)"死に関して"かなりの影響を受けている。
本書は二部仕立てで、第一部のほうが書かれた時期として新しく、第二部は専業作家になる前の筆らしい。
後半、第二部のほうの作品は、ワンアイディア物のいわゆるショートショートとしてとても読みやすい話。
(私は『おお弾み』と『"おやゆき"の"もしゆき"』という、ファーンズワス二部作が好き)
中でも表題作の『ふるさと遠く』は、冒頭の鯨といい、ラストの情景といい、どこを切り取っても絵のような(もしくは映画のワンシーンのような)美しさのある佳品。
でも、でも、第二部の作風だけで仕上がった作品集なら、こんなにも心に引っかかる本にはならなかった。
作者本人は「疎外感」とおっしゃってたようですけども、結局誰とも触れ合っていない関係性というか…
愛し合っているカップルを描いた『据え置き家賃』が、ああなって終わるというところとかもうね…たまらない。
いやでも、とてもインモラルな話ではあるので、声を大にしてお勧めはできないのだけれども、もしどこかの古本屋で見かけたら、『エコー』だけでも読んでみてください。
そしてその話がお気に召したなら、多分、どの話を読んでもおもしろく読めるかと思います。
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